2008年11月13日

太陽光とインド風水ヴァーストゥ(5)

 それでは、“余分な緊張“についてもう少し詳しく見ていきましょう。

@中枢神経系からのアプローチ
 大脳新皮質の覚醒水準が低い状態から上昇するにつれて作業効率は増大します。しかしある水準を超えると作業効率は下降してきます。この作業効率が下降する相は、脳の覚醒が強く、イライラしたり怒っているときなど興奮した状態に相当します。この相の初期の部分は、意識下の余分な緊張が生じている状態と見なすことができます。

 例えば、蛍光灯の電球色と昼光色のそれぞれの光に曝露しているときの実験では、昼光色条件は電球色条件より統計的に有意に大きく覚醒水準が高くなっていました。このとき同時に測定された反応時間は覚醒水準の高い昼光色条件の方が有意に遅くなり、覚醒水準における余分の緊張が存在すると考えられました。また覚醒水準の変化は脳幹網様体の下降性経路を経て筋の緊張度にも影響を与え、ある実験では、覚醒水準と姿勢の体幹傾斜角度との間に有意な相関関係を示し、高色温度では低色温度条件より回帰直線の傾きが大きくなることを示しています。

A自律神経系からのアプローチ
 自律神経系は臓器の諸機能を交感神経及び副交感神経の二つの拮抗する活動によって制御しています。心拍数を例にとると、副交感神経活動が交感神経活動に対して優位に働けば心拍数は減少し、逆に交感神経活動が優位なときは増大します。通常安静時の心拍数は副交換神経活動の増減によって制御されていますが、精神的もしくは身体的ストレスが生じた場合には交感神経活動が優位となり心拍数は増大します。心拍数を制御する副交感神経と交感神経の両活動のバランスにおいて、精神的もしくは身体的ストレスを感じない状態下で交感神経活動が優位になる初期の段階は自律神経活動における余分な緊張とみなすことができます

 夜のリビングを想定した蛍光灯照明光の実験では、昼光色曝露条件では、昼白色、電球色条件よりも心拍変動から求められた交感神経活動指標は有意に高くなることが認められ、夜の照明光としての昼光色は余分な緊張をもたらすことが示唆されています。

B生体リズムからのアプローチ
 体温をはじめとする自律神経機能、ホルモン分泌、免疫反応など多くの生理反応には約24時間周期のいわゆる概日リズムが存在します。光の明暗は概日リズムの主たる同調因子になるため、照明光の生体への影響をみるにあたって、概日リズムは適した評価法になります。この概日リズムはその周期と振幅によって特徴づけられます。したがって、照明の条件によって振幅やリズムの位相(あるいは周期のピーク時間)が通常の値からどの程度影響を受けるかが評価されることになります。

 夜の寝室の蛍光灯照明を評価した実験では、就寝の前まで曝露されていた光が昼白色もしくは昼光色のとき、睡眠中の直腸温(深部体温)の低下勾配が抑制され、直腸温の概日リズムの振幅が小さくなるという点から昼光色は余分の緊張を生じさせることが示唆されました。

 以上、3つのアプローチから導き出されることは、不適切なタイミングで不適切な光を浴びると、ストレスや作業効率、睡眠まで悪い影響を与えうるということです。例外は当然ありますが基本的に「不適切なタイミングで不適切な光」というのはこの場合、夕方から夜に強い光を浴びるということでしょう。

 インド風水ヴァーストゥでは南から西にかけての光をなるべく少なくする、つまり夕日を浴びないという原則もあります。ここでもインドシ式風水ヴァーストゥは、非常に理にかなっているといえるのではないでしょうか。


 この続きは次回にて。日本のインド風水ヴァーストゥ研究のパイオニアとしてインド風水ヴァーストゥに関する情報をニュートラルにご紹介しています。こちらのHPもご覧ください。

(参考文献)
"光資源を活用し、創造する科学技術の振興−持続可能な「光の世紀」に向けて−", 文部科学省科学技術・学術審議会資源調査分科会, 2007年9月5日
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