2008年11月10日

太陽光とインド風水ヴァーストゥ(3)

 さてやっと本題の日光と睡眠障害やうつ病の関係性について述べていきたいと思います。

 もともと人間は昼行性の哺乳類であり、日の出とともに起床して、日中活動し、日が沈むと休息をとるという生活が生物としての本来の姿です。人間の生体リズムは多くの動物と同じように生物時計によって駆動され、約25時間の周期(概日リズム)で活動と休息のリズム信号を出しています。しかし、地球の自転により24時間周期で変化する外部環境とは約1時間のズレが生じます。生物時計はこのズレを修正し、概日リズムを24時間の環境変化に同調させる機能も持っています。

 すなわち、通常、起床直後に太陽光が目から入ると、その光信号は視交差上核、上頚神経節を経由して、松果体にたどり着きます。すると、食事で摂取して血液中にあるトリプトファンというアミノ酸が分解されてセロトニンが産生され、メラトニンがつくられます。

 このとき、N-acetyltransferaseという酵素が活性化されてはじめてメラトニンが生合成されるのですが、N-acetyltransferaseは光があると活性が抑えられ、この代謝が行われないようになっています。したがって、外界が暗くなったときに、N-acetyltransferaseが活性化されて、メラトニンができるのです。こうして生物時計によってリセットされた時刻から10〜12時間は代謝が高められ、血圧・体温も高めに保持され、覚醒して活動するのに適した状態になります。

 これが朝の光を浴びてから13時間くらい経過すると、松果体からメラトニンの分泌が始まり、手足の末端からの放熱も盛んになります。こうした放熱により深部体温が低下してくると、1〜2時間のうちに自然な眠気が出現します。

 つまり、太陽光に対する生物時計のリセット機能により、朝起床して太陽光を最初に浴びた時刻に応じて夜に眠気が出現し、自然に眠くなる時刻が決定されるのです。

 朝の起床時に充分な太陽光を浴びなかったり、暗い部屋で昼過ぎまで眠っていると、こうした概日リズムのリセットが適切に行われず、その日の入眠時刻が遅くなります。一方、夕方から夜の時間帯に強い光を浴びると、昼の時間が延長することになり、休息への準備が遅れ、結果的に入眠時刻が遅れることになります。

 この1世紀の間に、電気が使われ始め、現代人は夜遅くまで強い照明(人工光)を浴び、また交代勤務や時差勤務体制の増加に伴い、夜に活動して昼間に眠るなど自然の昼夜とは異なった明暗サイクルで生活する機会も増えました。このようなライフスタイルの変化が生物時計の機能不全の引き金となり、生体リズム障害を引き起こします。代表的な病気がいわゆる「概日リズム睡眠障害*」です。最悪の場合、うつ病を発症します。

 インド風水ヴァーストゥでは、「北枕と地磁気」で書いたとおり、いわゆる北枕を否定しつつ、朝起き上がるときに顔が北か東を向いていることが好ましい、つまり朝日を浴びるという原則があります(明るさという意味では曇り空程度であれば十分)。また、南から西にかけて窓をなるべく少なくする、つまり夕日を浴びないと言う原則もあります。現代科学からみて、太陽光に関するインド風水ヴァーストゥの考え方は非常に理にかなっているといえるのではないでしょうか。

 この続きは次回にて。日本のインド風水ヴァーストゥ研究のパイオニアとしてインド風水ヴァーストゥに関する情報をニュートラルにご紹介しています。こちらのHPもご覧ください。


(参考文献)
"光資源を活用し、創造する科学技術の振興−持続可能な「光の世紀」に向けて−", 文部科学省科学技術・学術審議会資源調査分科会, 2007年9月5日

*概日リズム睡眠障害には、夜勤や時差の大きい地域への飛行などによる外因性の急性症候群(交代勤務と時差症候型)と、生物時計あるいはその同調機構の障害によって睡眠スケジュールを望ましい時間帯に合わせることが困難な内因性の慢性症候群(睡眠相後退型、事由継続型、睡眠相前進方、不規則睡眠覚醒型)がある。
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