2008年10月23日

北枕と地磁気(1)

 日本に一般に広まっている風水では以下のように言われることが多いようです。
「北枕で寝ると金運がよくなる。さらに、北枕は地磁気の関係で血液の循環がよくなることが科学的に証明されており、そのためぐっすり眠ることができる」。

 一方、インド風水ヴァーストゥでは、「北枕は絶対に避けろ」というのが鉄則です。科学的に見てどちらが真実でどちらが迷信なのでしょうか?

 まず本当に「血液の循環がよくなるとぐっすり眠ることができる」のでしょうか?

 よく知られているように睡眠中は交感神経優位から副交感神経優位に変わります。具体的には、日中は呼吸と心拍は速く、血圧と深部体温は高いのですが、睡眠中は呼吸と心拍は遅く、血圧と深部体温は低くなります。指先体温については入眠前後が最も高くなり、その後、深部体温と同様にゆっくりと下がっていきます。

 冷え性の人が眠りにくい理由は、手足などの血行が悪いために深部に熱がこもって体温が下がりにくいためといわれていますので、快眠のためにはたしかに入眠前後に手足の血行をよくして手足の体温を上げることが大切です。これによって一時的に深部体温は上昇しますが、しばらくすると低下していきます。つまり、「睡眠中に血液の循環がよくなる」ことは、交感神経系を刺激しない範囲内においてはよいことだと思います。

 しかし「血液の循環がよくなる」ということが、もし「血圧と体温が高くなる」ことを意味しているのであれば、入眠前後はともかく、しばらくしたあとはむしろ眠りにくくなるのではないでしょうか。睡眠中は血圧と体温を低くする必要があるのです。もし、日本で一般に広まっている風水のいうとおり「北枕は血液の循環がよくなる」のであればむしろ睡眠には最悪です。「頭寒足温」説にしても同様です。今すぐ北枕はやめてください

 それにそもそも「地磁気の関係で血液の循環がよくなり、ぐっすり眠れる」ということを証明できる臨床データが本当にあるのでしょうか。もしあるならどなたか是非教えてほしいところです。科学的根拠がないならそういえばいいし、あるならデータを示すべきでしょう。科学的根拠があるといいつつも根拠を示さないまま、広まってしまうことだけは、注意すべきでしょう。

 以上のように、日本に一般に広まっている風水の原則「北枕で寝ると金運がよくなる。さらに、北枕は地磁気の関係で血液の循環がよくなることが科学的に証明されており、そのためぐっすり眠ることができる」には、いまのところ実証されている科学的データとしての根拠はなさそうです。

 インド風水ヴァーストゥでは「北枕は絶対避けろ」と冒頭で書きましたが、今年の夏、興味深い論文が発表されたのでご紹介します。ドイツとチェコの研究者のチームが米国科学アカデミーの紀要(*)に発表した研究によると、放牧中の牛や休息中のシカをグーグルアースの衛星写真で調べた結果、その多くの場合、北か南を向いていたということです。これは何を意味するのでしょうか?

 この続きは明日のブログをお楽しみに。

(*)http://www.pnas.org/content/early/2008/08/22/0803650105.abstract



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posted by 多聞 望美 at 16:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 北枕と地磁気
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